女性職人一人の チーズ工房を 長く続く産業モデルに

チーズ工房【千】sen

女性職人一人の チーズ工房を 長く続く産業モデルに

File.13

千葉県大多喜町チーズ工房【千】sen

小型チーズなら
女性が得意

小さなチーズなら力もいらず、細かな作業はかえって女性の方が得意。それに一つひとつに心も込められる…。そう考えた柴田千代さんは2014年、女手一つで切り盛りするチーズ工房を千葉の酪農家の近くでスタートさせました。
チーズを生業にしようと決めたのは18歳の時。大きな会社の一員になるのではなく、自分の手の内に職業を持って自分の足で立ち続けたい。そのためにはどんな種類をどのくらい作ればよいのか。チーズ伝統国フランスの酪農家を回ったり、日本ならでは、千葉ならでは、自分ならではのチーズ特徴の出し方を研究します。
その結果、千葉の古民家を改装して工房にし、チーズには日本独自の乳酸菌や酵母を使い分け、製造日と販売日を明確に分けて営業は月1日のみ、告知や受注はSNSと、徹底した戦略ができあがりました。
コクが豊かで日本独自の風味を持つチーズは国内コンクールの頂点に立ち、世界でも優秀な成績を収めました。
「チーズは多くの人と繋がるツール」という柴田さん。世界進出の一方で、月1回のお客さんや年1回の寺子屋で会う子どもたち、あるいは地元のアーティストたちとの交流など、縦に横に広がる人との関係も、月日と共に豊かに育てています。

  • チーズ工房【千】sen1
    この日は竹炭の製造日。すべて手で成形。「こうして思いを込めたいんです」。製造は一度にミルク100リットル。これを週に2日程度仕込み、あとの日はチーズのケアにあてています。
  • チーズ工房【千】sen2
    1年に一度開かれる「チーズづくり体験」寺子屋。定員50人は2時間で満席に。伝えたいことはいっぱい。学校に行けていなかった子どもが、この場をきっかけに学校に戻れた例もあるそうです。
  • チーズ工房【千】sen3
    2017年、第11回ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテストで農林水産大臣賞を受賞した「竹炭 濃厚熟成」(左)と、ワールドチーズアワード2019(イタリア大会)で銅賞に入った「うぶすな」(右)。
柴田千代さん
柴田千代さん。千葉県出身。2014年に千葉県大多喜町で独立。「いずれ土地をきれいに使うエコヴィレッジを始めたいんです。200年単位で国を守る視点を持って土地に負荷のかからない農業手法を考え、環境を共有しながら生きる暮らしをしたい」。チーズづくりは、その営みの一つとして存在していきます。
わたしのおすすめ!

地元で食べよう!

地元で食べよう!
大多喜町の発酵和食「蔵精」。動物性食品なしでコースを組み立てていますが、柴田さんのチーズだけは別格。酒粕やみそ、大根の甘酢漬け、しょうゆのもろみなど、日本の発酵食品と組み合わせて。
チーズ工房【千】sen

チーズ工房【千】sen

千葉県夷隅郡大多喜町馬場内178

https://fromage-sen.com/