チーズの産地北海道に 豊かな乳文化を 根付かせたい

白糠酪恵舎

チーズの産地北海道に 豊かな乳文化を 根付かせたい

File.11

北海道白糠町白糠酪恵舎

まずは地元の人が「おいしいね」と
食べてくれなくては

ミルク感があって後味すっきり。シンプルな味わいでそのままでも美味しく、他の食材とも合わせやすい。そんなチーズづくりを目指しているのが、北海道東部の林業も漁業も酪農も盛んな白糠町にある白糠酪恵舎です。
2000年のスタート以来、試作チーズを手に地元の人の声を聴いた代表の井ノ口和良さんは、地元の人自らが喜んで食べ、故郷の料理になっていかなければ、この地域にチーズ文化は根付かないと気づきます。ならば、イタリアタイプのチーズがいい‼
方向を定めると、イタリアの技術で日本ならではのチーズづくりに邁進。そして料理教室の開催、料理本の製作、地域レストランへの持ち込み営業、新商品の新聞発表など次々と発信していきます。また、小学校の故郷給食への導入、酪農家のお母さんが家族のためにつくるチーズ講習会なども主催します。
いまや、ふるさとの味となった白糠酪恵舎のチーズに継承者は不可欠です。そのため井ノ口さんは若手スタッフを育てる一方で、日本の乳についての情報整理も始めています。
共働学舎の宮嶋望氏、帯広畜産大学の平田昌弘氏と三人でつくる「次世代への技術書」は、さらに日本らしいチーズづくりの道しるべとなりそうです。

  • 白糠酪恵舎1
    工房から約2kmの対木牧場。牛が牛舎内を自由に歩くフリーストール方式をとっていますが、晴れた日には外へ出します。「すると、モッツァレラの味がぐっとおいしくなったんですよ」と井ノ口さん。
  • 白糠酪恵舎2
    モッツアレラの製造過程。カードは92℃の塩水の中でかき混ぜて繊維をつくり上げます。水分を抱き込ませ木べらでもみあげます。
  • 白糠酪恵舎3
    (奥、時計回りに)モッツァレラ、リコッタ・サラータ、サルーテ、スカモルツァ、リコッタ。(手前、時計回りに)テネレッロ・シラリカ、ロビオーラ、プロヴォローネ。
井ノ口和良さん
井ノ口和良さん。1963年福岡県生まれ。18歳まで東京で育つも、帯広畜産大学を選んだことが現在の環境や人脈に通じていきました。「絶対かなわないもの、例えば牛乳の状態などを受け入れることが謙虚さを生む」「仕事とは多くの人を喜ばせること」が持論。
わたしのおすすめ!

地元で食べよう!

地元で食べよう!
地元の鹿肉と羊肉の間にモッツァレラを挟んだ、「レストランはまなす」のハンバーグ。上からハード系のモンヴィーゾをすりおろしていただきます。
白糠酪恵舎

白糠酪恵舎

北海道白糠郡白糠町茶路東1線116番地11
Tel. 01547-2-5818

http://rakukeisya.jp/