日本人が おいしいと思う 味と香りをつくる
日本人が おいしいと思う 味と香りをつくる
File.04
栃木県那須塩原市チーズ工房那須の森
チーズづくりは、
お客さんの声を聴きながら
「いらっしゃいませ、ご試食、どうぞ」。
チーズ工房那須の森では、手が空いている誰もがお客さん対応をします。会話からヒントをもらえるし、おいしいと言われると元気がもらえるから、がその理由。
ここの製造スタッフは、代表の落合一彦さん以外、4人すべて女性です。「結果的にですが、チーズごとに相性のよいスタッフが担当になりました。チーズという生き物を相手に気配りのいる仕事は、女性が向いてますね」。
落合さんがこの工房を立ち上げたのは2008年。もともと農水省の研究者として全国の牧場を回るうち、「定年後は、ぜひ自分でチーズづくりを」と思いを温めていたそうです。
場所を全国でも有数の牛乳の産地である那須に決め、できたチーズを背負って「食べてみてください」と近隣の店や商談会に顔を出すうち、生産量が増加。ところが2011年の東日本大震災による原発事故では打撃を受けます。放射能の検査をし、証明書をつけて出荷することが2年間、続きました。
「でも、国産ナチュラルチーズを支持する人が増えてきている、この時代の風が味方してくれました」。
変化していく日本人の味覚を実感しながら、いま、和食と調和する地元オリジナルチーズの開発中です。