幸せな動物のミルクで きれいな味の チーズをつくる

幸せな動物のミルクで きれいな味の チーズをつくる
File.07
広島県三次市三良坂フロマージュ
日本人の“おいしい”で
持続可能な酪農を追求
広島県北部、三次市の山間で山羊と牛を60頭ほど放牧で飼う松原正典さんは「山地(やまち)酪農」という手法をとっています。動物たちは自然の草木をエサにし、糞をし、そこにまた草が生えるという循環型酪農を可能にする方法です。ミルクの生産効率は良くなくても、動物にとっての幸せは自然の中で自由に生きられること。そんな幸せな動物からもらうミルクでつくるチーズこそ、絶対においしいと思った松原さんは、そのための土地を自力で開墾しました。
この原点は、オーストラリアでの経験です。牛が何千頭もいて管理はコンピューター。ある日、松原さんが1頭の牛の死骸をトラクターで運んでいたら、牧場の牛たちに取り囲まれたのです。ウォー、ウォーウォー。
「怒ってるんだと思ったんです。牛はミルクを提供しているのに人間は牛を大事にしていないじゃないかと。一人アパートに戻って涙が出ました」。
一度は辞めたいとまで思った仕事でしたが、考え直した松原さんは日本の7割を占める山林に着目。これを生かせれば日本の酪農が豊かになる。日本人を満足させるチーズをつくることで持続可能な酪農を目指しています。
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クリ、コナラ、アベマキの⽊々が気持ちのよい⽊陰をつくる放牧場。⼭⽺は野⽝に襲われるので夜は⼩屋に。⽜は24時間365⽇外暮らし。 -
⽊の温もりが⼼地よいショップ。「逃げ出した家畜でお世話になったご近所さんが買いに来てくれると、とてもうれしいですね」。 -
フランス産がピラミッド型なら⽇本は富⼠⼭型だ、と命名した富⼠⼭(シェーヴル)。

おいしいチーズの食べ方

